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再見!アラーキー(7) 女

荒木と言えば女、女と言えば荒木。 荒木のセンセーショナルな女写真はいつの時代も注目を浴びてきた。 「イイ女が向こうからやってくる」「女との出会いで成長してきた」と豪語するほど、女性への思い入れは強い。 荒木の女たちはただ撮られるだけの存在ではない。 荒木によって魅力を引き出されながら、また荒木自身のポテンシャルも引き出すミューズなのだ。

ヌード

荒木のヌード写真は過激だ。 性行為の予兆/痕跡を匂わせたり、大股開きで陰部をさらしたり…。

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写真の中には様々な記号が潜んでいる。 女陰を狙うトカゲなんかはわかりやすい。 倒れた瓶は「事後」を表しているらしい。

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生活感を伴うヌードだけでなくオブジェ的なヌードも撮る。 前者が被写体との関係性を表す"コト"の写真なのに対して、後者は「女性は無機物」と冷ややかに見る"ブツ"の写真だ。

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アタシの場合、こういうすごく日常的なのとアートっぽいのが同居してる。関係性が出てるのと突き放してるの、『事』が写っている写真と女を『物』にしている写真が混ざり合ってんだよね。

顔を隠すだけでぐっとオブジェ的になる。

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この写真を見るとEdward Westonを想わずにいられない。

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荒木のヌードには丸まった姿勢がよく出てくる。 どうやら荒木が好きなポーズらしい。

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美しいだけが女体じゃない。 『週刊大衆』の企画<人妻エロス>は、小綺麗なポルノグラフィを一蹴する破壊力を持っている。 見よ、この圧倒的現実!

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<人妻エロス>のモデルは公募で選ばれた一般人。 荒木に撮ってもらいたい一心に脱ぐ覚悟をして来た人たちなのだ。

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ブツ撮りの手法で撮られているから、女体のディティールに目が行く(肉付き、骨格、老い、etc.)。 笑顔が多いのも印象的だ。 ヌードに満面の笑み、荒木にしかこなせない異色の組み合わせだ。

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ヌード写真の進化系(?)が緊縛写真だ。 サディズム/マゾヒズムを突き詰めると緊縛に行き着く。

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歪められる女体というテーマはベルメールの影響があること間違いなし。 ただベルメールと違うのは、人形ではなく生身の人間を使っているところ。 当然人間の身体の可動域には限界があり、人形ほど好き勝手に変形(あるいは改造)することはできない。 縛る側も縛られる側も人体が壊れるすれすれのラインに挑戦するという意味で、緊縛はある種アスリート的な試みと言えるかもしれない。

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荒木は出たがりな性分で(笑)、緊縛写真にもひょっこり顔を出す。

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なぜアタシが登場するかっていうと出たいってだけじゃなくて、こういうことをやってるのはアタシだってこと。そうすると、相手と同格になるわけだよ。こういうスケベな変なことをやっている奴はコソコソやるわけだよ。顔ださない。編集者だって、縛ってる奴だっていやがるんだから、だからこうやって堂々と登場する。

少女

荒木が撮れば少女もエロティックになってしまうから不思議だ。 荒木につかまったら最後、女の子は大人への背伸び(というかもはやジャンプ)を強制される。

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幼女と女のあいだの時期は面白いね。女になりたいけどなりきれない、ちょうど境界線あたりで揺れてる年頃。だからお洒落な下着を着せたり、ちょっと化粧をしてあげるだけで変わる。場所もね、ベッドとかソファみたいなフワッとした柔らかいところに寝かせるだけで、すごくしなやかで官能的な女になる。ぐっとエロティックでしょ。 [......] 自分の性に気づいた瞬間、恥じらいとエロスがぐっと出てくる。

ダイアン・アーバスを思わせるこの写真。 女の子二人は不良仲間であって双子ではないらしい。 それにしてもよく似ている。

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荒木少女のアイコン的存在が「歩ちゃん」。 荒木が神楽坂に「恥部屋ちべや」と賞するアトリエを構えていた頃に出会った女の子だ。

彼女は歩ちゃん、神楽坂の路地でお絵描きしているのを見初めたんです。喫茶店に拉致してパフェで誘惑して、近くの萬平っていう居酒屋でくどいてる。アタシが酒飲んで彼女はキリンレモン。じっとがまんしてたのかなー、お母さんの顔見たとたんに泣いちゃった。

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歴代のミューズたち

荒木の写真家人生は女性なしでは成り立たない。 その中には何度も繰り返し撮っている「お気に入り」のモデルがいる。 ここでは荒木の見初めたミューズたちをピックアップして紹介する。1

三千院京子

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ニッポンの女を感じるね。演技派とか表現主義とかいうんじゃなくて、ふと見せる横顔とか佇んでいる姿だけで、妖気品が漂う。

藤野ともね

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ひと目見てこれが日本のイイ女だと思ったね、藤野ともね。アタシってすぐコピーひらめいちゃうんだけど、彼女は「Aの愛人」で決まりだった。もうゾッコン惚れちゃって、結婚じゃなくて、ゾッコン中してんだね。

姑娘

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  • 「突然の恋人」S。驚いたね、まだ17か18くらいのコが「逢いたい、荒木さんに写してほしい」ってわざわざ恥部屋を訪ねてきたんだから。アタシの絵まで描いてくれて、恋に落ちたね、「姑娘クーニャン」って中国語でおませなコって意味。
  • 40歳の誕生日に神楽坂にあった恥部屋と称した私事部屋に淫美な女高生が40本の真紅のバラの花を抱えて訪ねてきた、その情景が忘れられない。

秋桜子

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91年に札幌で「冬の旅」展をやって講演したとき、いちばん前の席に座っていたのが彼女、アタシのファンだって言って来たんだよ。 [......] 雑誌『Switch』の企画で小樽から美瑛に2泊3日の旅をしたんですよ。小樽の運河沿いの道にコスモスが咲いてて、それで秋桜子コスモコ

関連項目

ソース

  • 荒木経惟『荒木経惟写真全集 第2巻 裸景』平凡社 1996
  • 荒木経惟『荒木経惟写真全集 第5巻 少女性』平凡社 1996
  • 荒木経惟『荒木経惟写真全集 第18巻 緊縛』平凡社 1997
  • 荒木経惟『荒木経惟写真全集 第19巻 Aの愛人』平凡社 1997
  • 荒木経惟『ARAKI by ARAKI』講談社インターナショナル 2003
  • 荒木経惟『写狂老人A』河出書房新社 2017

  1. こうやって歴代のミューズを並べてみても、荒木の女性の好みがわかりそうでわからない(笑)。 


最終更新日: 2024-07-17